「夢」「熱い思い」に続くリーダーという 「人間」に欲しいものの三つめは、 「仕事と部下のための存在であるという自己意識」、したがって、部下と真正面から 「向き合っていく」ことである。
〝下〞を、うまく操縦していこうとするのではなく、また躱(かわ)したり往(いな)したりすることなく、人間として 「向き合って」交わり、人間の火花を散らしていくことである。
もちろんときに衝突ともなろう。 衝突を好む人はいないがしかし、企業内は言うに及ばず、学校であろうが家庭であろうが、問題を抱えていながら衝突のない組織なんて、蟻の社会以外にはない。 あったとしたら、それは贋組織だ。
ところがこれまた、日本人が最も避けたがることなのだ。 とぼけようが偽ろうが、ぶつかり合わないで器用にやっていくのが大人だというわけだ。 ぶつかり合いを罪悪とする人もいる。衝突回避を至上命題とし、贋ものの和気あいあいで繕っていこうとする。 会議の場ではもの言わずその部屋から出たとたんに反論の独り言をやっている人がいた。 某電気機器メーカーの企画室長であった。 居酒屋での声はこのオンパレード。
組革研で私がエネルギーの多くを費やさざるをえないのもここだ。
ぶつかり合いは、避けるべきものではなく、乗り越えるべきものではないか。 人間としてのぶつかり合いかたの叡智は、我われの種子の中に宿っているはずだ。
今、この社会の人びとが奥深いところで最も飢えているものは、お互いの本気さ、人間として真直ぐにぶつかり合っていこうとする魂ではないのかと、私には思えてならない。
子どもたちが、大人の用意したものに反応を示さなくなっているのも、それどころか、大人たちの社会に不信感さえ抱いているのも、行き着くところこれだと思う。 贋ものは〝下〞によって必ず見破られてしまう。 「うちの生徒は、そういう大人の社会を完全に見抜いていますよ。 だから、若ものが無気力になってしまうんです。 『大人たち、あんなに偉くなったって俺たち以下だろう』となっているんです。 子どもたちは凄いですよ、人間としてきちっと生きていきたいというものがありますから」と言うのは、先週の深谷校長である。
因みに記しておく。 組革研でのミーティング手法である 「個全システム」は、換言すれば 「向き合いシステム」である。 「ぶつかり合いシステム」と言ってもよい。 巷での会議・ミーティングが 「すり合わせシステム」であるのとは対照的だ。 このところこの手法に企業人の関心が集中しているらしい。
(『人を人として』第五章三より抜粋、加筆)
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