先日、精神科医師で130社の産業医を務められている𠮷野聡先生と藤田キャンパスリーダーとの対談の場に同席させていただいた。 あと2回程の対談を経て共著として出版される予定である。
第1回目の対談ではあるが、職業性ストレスとは何なのか、どこから来るものなのかということから始まり、職場でのメンタル障害や鬱について深い論議が交わされた。
とりわけ議論が人間観へと発展していくなか、𠮷野先生の知見と 「人を人として」のマネジメント理論が見事に一致した。
医学的な説明はできないので誤解を恐れずにいえばメンタル障害の要因の多くはストレスだが、ストレスは誰にでも何をしていてもある。 しかしストレスには自身のメンタルヘルスに対してプラス要因になるものとマイナス要因になるものがあるとのこと。
自身に裁量権があり達成感があり仲間として信頼しあえる関係があればストレスは緩和され、むしろ活性化要因として仕事のプラス要因にもなる。 一方、やらされ感が蔓延する仕事や職場で感じるのがマイナスの憂鬱ストレスとのことで、プラス(ストレス緩和要因)とマイナス(ストレス増加要因)の差は3倍にもなるとのことだ。
まさに 「人を道具として」、その 「道具力」を更に発揮させようとする 「三逆」のマネジメントこそがメンタルヘルスへの負荷を増加させ、人を人としての 「脱・三逆」は人と仕事を活性化させることにつながる。
「働き方改革」は労働時間などの量を問題にしているが質こそが問題なのだ。 質の問題に迫らず量に迫れば余計にメンタルへの負荷が強まる、とキャンパスリーダーは力説されていた。 𠮷野先生も、 「土曜日も働いていた頃より現在のほうが鬱の患者は増えている」と言われた。
企業の人間観、仕事観は働く人によって家庭に影響を与え、家庭は子どもと社会の教育に影響を与え、その教育を受けた人が企業文化を創っていく。 このスパイラルが 「人を人として」に向かうかどうかが、未来の企業活動にとって正念場に来ていると思う。
しかし 「人を道具として」の度合いは組織革新研究会50年を振り返ってもより強まっているとのキャンパスリーダーの言に、𠮷野先生は大学で教鞭をとっていた経験も含めて同様のことを仰っておられた。
道具どころかより一層社会の仕組に当てはまるパーツとして人を精製しているかのように感じるというのが一致点である。
この根っこにあるものこそが日本社会全体を貫いている “初期設定” であろう。
次の対談ではここを抉ることになると思う。
19.3.25.
小田剛之
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