自分に足りなかったものが見えてきた

「いいな」と思われたら押してください。

　産業機械の部品を受注生産しています。
　ある製品についてお客様から「精度が低い」というクレームをいただきました。もともと精度を上げるのが難しい製品で、他の製品に比べて不良率は高いのですが、出荷に際して少しでも問題のあるものは除いており、心配はしていませんでした。
　ただ、一方では決して低くない不良率を社内で問題視されるのが嫌で、加工法の再検討を避けていました。
　組革研では、手を抜かず最後までやりきった達成感を味わうことができました。それは職場では得たことのないもので、それまで自分がいかに手抜きをしてきたか思い知らされました。
　私は何としても製品の精度を上げようと決意して職場に戻りました。もともと現在の加工法では組み立てるまで精度を測定できないという問題があり、新しい加工法を探すことにしました。他の仕事の合間に仮説を１つひとつ検証し、時間はかかりましたが納得できる加工法にたどり着きました。
　しかしそれは、加工機械の導入時にメーカーが実演しようとしてできなかったやりかたでした。「メーカーができないのに自分なんかにはとても無理だ」という弱音を振り払い、この加工法を採用するうえで問題となることを洗い出しました。これまでの思い込みを捨てて諦めず検証を重ねると、実現可能な条件が見えてきて、結果として不良率は５分の１に下がり加工時間も短縮されたのです。
　私は以前から良い手段を思いつくと実証もせずに提案し、先輩や上司から少し反論されると諦めていました。納得いくまで調べていれば認められたのかもしれないと感じ、自分に足りなかったものが見えてきた気がします。