「ありのままに見る」を鉄道の安全に繋げる

「いいな」と思われたら押してください。

　これまで駅員、車掌、運転士などを経験し、現在は「技術アカデミー」の安全部門で、「運転の事故」をテーマにして研究をすすめています。
　１０年以上いた鉄道の現場では、「決められたことを決められたとおりにやるように」と叩きこまれてきました。
　新たな発見を自発的にする機会が少なかったからかもしれません。組革研に参加し、「Ｓ－２０」の調査で外に出たとき、私は現場を前にして「いったい何から調べたらいいのか」と立ちすくんでしまいました。結局何もわからずキャンパスに戻ると、他のメンバーは「Ｓ－２０」のしくみの解明に近づくような発見をいくつも持ち帰っていました。
　翌日、キャンパスリーダーから「対象」を現場で良く見ることの大切さについてお話しいただいて、腹に落ちるものがありました。鉄道の事故にしても、報告書だけを見ていては本当のことは何もわかりませんし、現場を見ずにマニュアルに従うばかりでは間違った対応をする危険性があります。
　安全を考える上で、現場で対象をありのままに捉えることが重要だと気づきました。
　それからは、現場の状況をありのままに伝えることなら自分にもできるのではないかと思い直し、自分は対象を見ることに専念して、できるだけたくさんの発見に繋がる事実を持ち帰ることにしました。何とかみんなのためになりたいと必死で取り組みました。
　それは私自身の「対象を見る目」を養う訓練にもなることで、職場に戻った今でも「ありのままに見る」ことを続けています。
　現場の事実に目を向け対象と対応を区別して全体を捉えることを、鉄道の安全に生かせるようにしていきたいと考えています。