部下を仕事に向き合わせる

「いいな」と思われたら押してください。

　組革研のリーダー体験で「部下の相談に笑顔で応えるのがリーダー」という思い込みを１８０度ひっくり返された私は、「絶対に部下を易きに流さない」という決意で職場に戻りました。
　ある工事を担当する部下が、工事完了後に受ける検査の申請を先送りしていました。工事完了の見とおしがついてやっと申請すると、検査機関から完了予定日より前か納期より後の日程でしか検査できないと言われてしまったのです。
　部下は「工期は短縮できないから、客先に納期延長を依頼してほしい」と言ってきました。「できない」と答えると彼は何度も食い下がりましたが、「納期は絶対だ。工事完了をくり上げろ」と突き放しました。
　彼はしばらく呆然としていましたが、その後、現場を担当する業者の協力を得て工期を短縮しました。そして、納期前に無事に検査を終わらせると、とても嬉しそうに「合格でした！」と電話をくれたのです。
　別の部下が、造船所での改修工事を１か月後に控えた船から「クレーン装置の部品も交換したい」と依頼されたときのことです。彼が部品を発注した海外メーカーが納期近くになって納品が大幅に遅れると伝えてきました。彼は「改修期間に間に合わない」と部品交換の依頼をキャンセルしようとしましたが、客先には認めてもらえません。
　うろたえる彼を部品メーカーとの直接交渉に送り出すと、彼は客先の状況を訴え、休み返上で納期に間に合わせる約束を取り付けたのです。このときは「本当に良かった」と２人で喜びました。
　少しずつですが、部下たちが担当業務に自分の仕事として向き合い出していると感じています。