出荷予定を自分のものにする

「いいな」と思われたら押してください。

　お客様に製品出荷予定を提出することになり、協力工場に生産計画を立てるよう依頼したときのことです。
　その工場では生産トラブルが起きていると聞いていましたが、出てきた生産計画は従来と変わらないものだったため、電話で「本当に大丈夫か？」と確認しました。トラブル対策を講じており問題ないとの返事に、私はトラブルの詳細や現場の確認をせず、その生産計画に基づいて出荷予定を作成してお客様に報告しました。
　しかし実際には、その対策はことごとく外れトラブルが悪化。結局は納期遅れとなってしまったのです。それでも私は、心のどこかで「約束を守らなかった協力工場が悪いんだ」と責任転嫁していました。
　組革研で、自分の手抜きに気づかずにいると大きな誤りを犯すということを体験し、職場でも手抜きをして対象を捉えず、自分に都合良く捻じ曲げていたのだとわかりました。
　その後は、お客様に出荷予定を求められると、工場の生産計画に問題がないか現場に出向き、少しでも異常を感じた場合は曖昧な点を問いただして、必ず守れると保証できるものにしています。
　現場に出向くと電話やメールだけでは得られなかったような情報も聞けるようになり、必死になって取り組むことで、工場の関係者も納期を確実に守るために動いてくれるようになってきました。
　職場で経験を重ねるにつれ「この程度までやっておけば」とか、「こうしておけば切り抜けられるだろう」といった処世術がいつの間にか身に付き、若い頃のように不明点をトコトン追求しようという姿勢を忘れていたのだと気づかされました。