紛れもない事実を部下たちから突き付けられた

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　７年前、組革研でのリーダー体験から、部下を「対象」に向き合わせることの大切さを実感しました。それ以来、製造部の各部署には、品質保全の課題で現場調査を厳しく課し続け、彼らは毎月２回の状況報告会に向けて、もがきながら調査をくり返してきました。
　部下たちは初め、自分の都合や思い込みからスタートし、すぐ対策に走ろうとしていました。しかし、粘り強く続けることで確実に変わり、今では事実から考えるという姿勢が体質化しつつあります。
　あるとき、職場Ａの不良削減調査で「製造している部材Ｃは、以前からの伝承で、外寸があえて小さ目に仕上げられている」という事実が明らかにされました。同じ頃、後工程の職場Ｂでは、「部材Ｃを挿入する工具は３か月使用するとすり減るので、その度に大きく作り直している」ということがわかりました。
　それぞれの報告を聞いた私は、「後工程Ｂで発生する不良の原因はこれだ。寸法の小さい材料と大きい工具で不良が発生する」と考え、それぞれの職場に指示を出そうとしました。
　ところが、そんな私に対して部下たちは、「仕上げ寸法の小さい材料では不良は発生していません」と自分たちで調べた紛れもない事実を突き付けたのです。
　私はこれまで、彼らの調査が自分たちの都合に合わせたものになっていないか、ありありとしているかを確認する役割を担ってきたつもりでした。しかしそんな私自身が、いざとなると成果を一日も早く出したいと焦り、「事実と向き合う」を一番体質化できていないのだと気づかされました。
　部下たちが力をつけたことを再認識させられた瞬間でした。