「現地現物」が工場の共通語に

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　中国の工場に勤務しています。トラブルが発生すると、部下たちは原因を明らかにする前に未確認情報や推測だけで対処するのが常でした。
　私は部下たちに、「トラブルに際してはまず現場で何が起こっているかを明らかにし、自分たちで対策を考え提案するように」と伝えました。しかし部下からは「設備のトラブルは設備部門の担当で、私たちには関係ない」との返答。設備担当者も「トラブルは把握しているが製造部門の仕事だ」と、誰も自分の問題として考えようとはしていませんでした。
　そこで、トラブル発生時に設備、製造、生産技術各部門のリーダーを集め、現場でありのままを見ながらデータを集計させました。どんなときに発生しているのか、発生するタイヤサイズに偏りはあるかなどを調べさせ、現場でしか摑めない詳細な情報を共有しました。「トラブル発生を責めているのではなく、何が起きているのかを解明したいのだ」とくり返し話すと、部門間の協力なしには解決できないことが彼らの腹に落ちてきたように感じました。
　さらに、設備部門にはトラブル発生時の設備の状態を、生産技術部門には品質の差が生まれるメカニズムについて調べるよう伝え、各部門のやるべきことを明確にさせました。
　すると、関係者の足並みが揃ってくるとともに、これまで日本人の責任者から指示されたとおりに動くだけだった部下たちが、自分で考え動く姿が見られるようになってきたのです。
　トラブル発生時には、各担当者が現場を確認したうえでデータを示しながら「こうすべきだと思うが部長はどう思うか？」と提案してくることが多くなってきて、現地現物から対象を明らかにしていくというすすめかたが工場全体に浸透しつつあると感じています。