困難を部下から奪っていた　

「いいな」と思われたら押してください。

　システム開発プロジェクトのマネージャーを務めています。
　３０名ちかい部下には経験の浅い者が多く、仕事を任せてもなかなか予定どおりに進まず頭を悩まされていました。
　結局、部下にはその能力に応じた作業を任せ、難易度の高い部分は私が担当していました。プロジェクトの責任者として失敗は許されないと考え、自分の手で何とかしようとしていました。
　組革研では、精神的にも肉体的にもつらいと感じながら、やりきったと思えたときに過去に味わったことのない達成感がありました。仕事に正面から取り組むことで初めて得られることがあるのだと確信するとともに、私が部下たちをプロジェクトのための駒にして、困難に直面する機会を奪っていたのだと気づかされました。
　彼らの力を決めつけていたことを申し訳なく思い、技術力を要する仕事でもできる限り部下に任せることにしました。
　しかし、部下の仕事は私が望むペースではなかなかすすみません。以前と同じように「終わらなくても何とかしてもらえる」と思っていたのかもしれません。私も、つい手を出したくなってしまいますが、我慢して「自分で最後までやりきってほしい」という思いで突き放しました。
　しばらくすると部下たちは、納期に間に合わせるための対策を考えたり、課題を相談しに来たりと、何とか自分で解決しようという姿勢になってきました。「担当の作業が遅れているので残業させて欲しい」と言われることも増えました。
　私がいなくてもプロジェクトが進むぐらいまで、部下も私も変わっていければと考えています。