部下が動き出すのを待てずにいた

「いいな」と思われたら押してください。

　部外から異動してきた部下に担当を持たせてから１年ほどになります。
　資材の納入トラブルが起きると、「まずいです。納期に間に合いません」と報告に来て「まだ経験が少ないのでわかりません」と私に解決を委ねようとするのが毎度のことでした。
　「どうやって解決する？」と聞いても、ぐずぐずと返事をしません。私は我慢できなくなって、「ああやれ、こうやれ」と指示を出していました。彼が動くまで待つことができず、私が資材メーカーを訪問して調整してしまったこともありました。
　部下が成長しないのは待つことのできない自分のせいでもある、と薄々感じてはいました。組革研でそれが確信に変わり、何とかしなければと考えながら職場に戻りました。
　その後、「〇〇が欠品し、ラインが止まりそうです」と彼がいつもの調子でやって来ました。意を決して今度こそ彼が動き出すのを待とうと思い、どう対応するのか考えて報告するように伝えました。
　彼は「ラインが危ないんですよ」とくり返し、あくまで指示を待つ姿勢でしたが「担当を１年もやってきて、自分で解決し再発防止策を打てなくてどうする」と言うと、ハッとした表情になりました。そしてついに自ら動き出したのです。
　調べると「現場からの発注依頼に不備があるのを見つけ、発注量の算出システムに誤りがあることもわかった」と報告がありました。彼は資材メーカーと調整して納入にこぎつけ、ラインを止めずに済んだのです。
　その後、現場に発注依頼の精度向上を申し入れ、システムのデータも洗い直して変更を申請するなど、自ら再発防止策まで行ったのです。