部下たちが安全活動を自分の問題にした

「いいな」と思われたら押してください。

　自動車の強度信頼性の実験研究をしています。実車試験に加え、油圧設備の取り扱いや溶接等の加工作業もあり、事故リスクが高い職場です。
　最近とみに業務量が増えていますが、部下には「業務より安全最優先」を指示し続けてきました。事故事例には指導コメントを添えて全員にメールし、安全活動は具体的にすすめかたを示して取り組ませていました。
　しかし部下たちは、「納期を遅らせるわけにはいかない」と多少リスクのある作業も実行してしまったり、安全活動は言われたことだけをさっさと終わらせて仕事に戻るという状態でした。
　昨年末、社内で事故が連続し、全部門に安全特別活動を実施する通達が出されました。私は組革研での体験から、部下が自分たちで安全対策を考えてすすめられるようにしたいと思いました。
　まず、安全について問題と感じることを１人１０件以上、個で書いて貼り出させました。その後、第三者から見ても「安全を最優先にしている」状態にするという課題をチームごとにすすめました。
　２週間後、各チームが「自分たちはこうする」をまとめ発表しました。「自身の意識や行動に問題がある」というものが８割を占め、彼らがけっして忙しさや古い設備のせいにしていないことに驚かされました。
　「上司であってもルールを守らない者には声を出して注意する」「毎日の朝礼で事故事例を１日１件持ち回りで紹介する」など、そのときに宣言したことは今でも継続して実践してくれています。
　以前は、安全活動が業務の妨げになるのはしかたないことだと考えていました。しかし、自分たちの問題として安全活動に取り組むことで、業務として無理なくすすめられるのだと、部下たちに教えてもらいました。