目標を持ったら部下の動きが変わった

「いいな」と思われたら押してください。

　３年前、新しい職場に責任者として配属されたときのことです。
　職場に活気がなく、目標設定もせずに作業しているというのが第一印象でした。生産が遅れ、毎日のように後工程を待たせていました。
　組革研から戻った私は、「後工程を待たせないように改善しろ」と課題を出して口出しをせずに様子を見ましたが、数週間経っても何も変化がありませんでした。
　ある部下に「改善はすすめているのか？」と聞くと、「したくてもやりかたがわかりません」と返ってきました。やる気がないのではなく、どこから手をつければいいのかがわからず悩んでいたのでした。
　部下にはやる気が十分にあるのだと確信しました。そして、「生産現場で最も大事なことは何か？」「後工程を待たせないために何が必要か？」などと尋ねて一緒に考えていくと、彼の口から「目標と納期です！」という言葉が出てきたのです。
　彼は数日後、「目標を決めました。１日あたり〇〇本です」と言ってきました。さらに毎日の実績が一目でわかるグラフを貼り出して、班どうしで達成率を競うようにしました。
　すると、部下たちは毎日グラフの前に集まって、目標未達の日には「今日は〇〇に時間がかかった」「もっと効率の良い方法はないか？」と話し合うようになり、設備故障が起きると工務課に何とかしてほしいと自分たちで働きかけるように変わってきました。そして、後工程を待たせることも徐々に少なくなっていったのです。
　この頃から実績が右肩上がりに良くなり、２年後には全国４工場の中で生産量１、２位を争う職場となりました。