同じトラブルはくり返したくない

「いいな」と思われたら押してください。

　毎朝、その日の作業内容を詳しく部下に伝えていました。その作業が終わると、部下は手持ち無沙汰になり、また私が次の作業を伝えていました。
　私の職場では燃料噴射ポンプの組立と試運転を行っています。トラブルにより作業が止まることがあり、部下には過去の経験から予想して必要となりそうな対策を伝えてはいました。しかし、それ以外のことが起きるとまた聞きに来ます。その度に、「私の指示が足りなかったのだから、しかたがない」と思っていました。
　組革研ではリーダーは何も教えてくれず、自分たちで考えてすすめざるを得ませんでした。しかし、いつの間にかチーム全員が夢中で取り組むようになっており、これまで私が職場でやっていたのとは全く正反対のすすめかたに驚かされました。
　職場に戻ると、週ごと日ごとの生産予定をホワイトボードに貼り出し、各自で判断してすすめるよう伝えました。初め部下たちはその日の計画が終わるとどうするか迷い、これまでどおり指示を仰ぎに来ました。しかし自分たちで考えるように言い続けると、しだいにみんなで相談してすすめるようになったのです。
　トラブルが起きたときには、「原因は何だと思う？　どう対処したらいい？」と部下に尋ねるようにしました。問題が発生した製品を全員で調べる時間を設けると、部下どうしで話し合う姿が見られるようになりました。
　先日、客先での不具合情報を部下たちに伝えると、「組み立てに問題があったのですか？」「不具合のあった製品を見ることはできませんか？」と心配そうな表情で聞いてきました。みんなが「同じトラブルはくり返したくない」という思いを強く持ち始めたようです。