求められた要件を明らかにする

「いいな」と思われたら押してください。

　「より質の高い」アルミニウムを開発してほしいと他部署から依頼されました。着手して一週間後に経過報告をすると、開発の方向性が先方の求めているものと大きくずれていることを指摘され驚きました。
　私は「より質が高いものを開発する」という依頼を聞いて、とにかく素材の品質が優れているものを開発すればいいのだろうと単純に考えていました。しかし、実際には生産性やコストについても同時に考慮することを求められていたのです。後から考えると当然のことです。
　組革研で、自分勝手な解釈から対象を捉えられなかったという苦い経験をしたにも関わらず、同じ失敗を繰り返してしまった自分をとても恥ずかしく思いました。
　依頼の内容をもう一度捉え直そうと、開発を求められているアルミの用途や生産コストなど関連することを一から調べました。また、現行品と同等またはそれ以下のコストでどのような品質改善ができるかを見極めました。効率的な生産方法を考えるために、生産現場で作業者から現状の作業効率を聞き取り、装置レイアウトの確認も行いました。
　このように調べていくと、アルミニウムの実際の製造過程に私が思い込んでいたのとは異なる部分があるとわかってきて、開発の方向性も見えてきました。その後の打ち合わせでは先方の納得が得られ、これまで以上に開発に集中できるようになりました。
　対象を明らかにすることが重要なのだと改めて思い知らされ、その後は開発を依頼されると、まず依頼の背景や求められている要件を担当者に確認し、作業効率などについてはその都度現場に出向き調べてから取りかかるようにしています。