部下たちは確信を持って「こうしたい」と相談に来た

「いいな」と思われたら押してください。

　車の耐久テストを行う部署に異動となりました。私にとっては古巣なので目に付くことが多く、気づくとその度に指示していました。
　あるとき、案件の進捗を部下に確認すると「行き詰っていて対処法がわかりません」と返ってきました。納期が迫っているのに、これまで何の相談もなかったことに驚き、私は血相を変えて対策を指示していました。
　なぜこんな状態になったのかと悩みましたが、組革研で「事細かな指示が部下を指示待ちにする」と聞き、私自身の問題だと気づかされました。
　職場に戻り、部下を集めて、自分のリーダーとしての姿勢を正直に謝りました。一方で納期に追われて指示ばかりになる状況を避けるため、報告書等の納期を１日早めると宣言しました。
　「もともと厳しい納期なのに」と不満も出ましたが、問題があれば早めに相談に来るよう伝えました。その後、部下が相談に来る機会は増え、私も気になることを投げかけるだけにしました。
　ある日、生産拠点ごとに試作した車をテストすると、同型車なのにしだいに品質の差が現れてきました。より詳しいテストが必要なのではないかと不安になりましたが、部下には「テスト計画は今のままで大丈夫か？」と確認するに留めました。
　すると、部下たちは急いで情報を集め始めました。基本部分を共用する別の車種の品質などを関連部署に尋ね、それをもとに、別拠点からも試作車を取り寄せて追加でテストする必要があると結論を出しました。
　部下たちは「こうしたい」と相談に来ました。自分たちの結論に自信を持ち、私を説得しようという気概を感じました。その後、彼らが作成した資料を基に統括部門を説得すると、計画を修正することができたのです。