指示が仕事だと思い込んでいた

「いいな」と思われたら押してください。

　ビールのパッケージング工程の管理をしています。職場の１５％にあたる従業員が来年度末には定年を迎え、技能伝承や工程の少人数化などがさし迫った課題となっています。
　昨年より現職となり、課題に取り組むために８人の係長を集めて会議を立ち上げました。始めてみると、彼らからはなかなか意見が出ず、しだいに私が提案や指示をするだけの場になっていきました。私自身が忙しくなるとその回数も減り、いつの間にか立ち消えになってしまいました。
　課題を何とかしなければと考え、現場のオペレーターに技能向上のための研修を受けさせることにしました。係長たちに参加計画を立てるよう指示しましたが、受講者はなかなか増えません。くり返し言っても状況は変わらず、動こうとしない係長たちを不満に思うばかりでした。
　「仕事がうまくいかないのを部下のせいにするとは何ごとか！」という言葉にハッとしました。これまで、私は部下に的確な指示をすることが仕事だと考え、「自分はちゃんとやっているのに」としか思っていませんでした。
　とにかく、係長たちとの会議を再開することにしました。みんなを集め、これまでのリーダーとしての姿勢を謝り、私が一方的に話すのではなくみんなが考え決めていく会議にしたいと自分の思いを伝えました。
　会議では、まず現状がどうなっているかを出し合いました。すると、係長が現場のシフトを把握しきれていない、研修参加をメンバーの意志に任せていたといったことがわかってきました。
　現状が見えてくると、現場を把握しているラインのリーダーに参加計画を任せよう、キーマンとなる人を優先して研修に行かせようとアイデアが続々と出てきて、その後はお互いに担当を決めて動き出しています。