依頼されたとおりに作るのが仕事だと思っていた

「いいな」と思われたら押してください。

　「お客様から渡された図面だから大丈夫」と安心していました。
　ある海外プラントで電気設備の改修工事を担当したときに、３０年前の図面を渡されました。それを見ると埋設ケーブル用のスペースに余裕があったのでケーブルの増設を提案しました。ところが、図面に頼り現場を十分に調べないまま設計をすすめると、施工時になってそのスペースがないとわかり、大きな改造が必要になったのです。
　私は、お客様に依頼されたことをそのまま実現するのが仕事だと考えていました。
　「仕事とは対象に貢献すること」。キャンパスリーダーの言葉で、自分の仕事のすすめかたが間違っていたと気づかされました。お客様に貢献をするためには、依頼内容の意図や目的を捉え、それをベストの形で実現しなくてはいけなかったのです。
　何とか変えなければと、設計を始める前に依頼内容を調べ直し、さらに良い案はないかと考えるようにしました。
　先日の依頼では、１４面の分電盤を設置するよう言われましたが、現場の状況をよく調べてみると８面に減らせることがわかり提案しました。これにより、操作性の向上とコストダウンを実現して、お客様に喜んでいただけたのです。
　これまで、依頼どおりの設計図を描かせるだけだった部下にも、依頼の意図や目的を時間をかけて話すようにしました。すると部下は、次第に「こうしたら良いのでは」と提案するようになってきました。
　今では、「お客様にとってベストな案は何か」と、部下とともに悩みながらすすめています。