現場を自分たちでパトロールしはじめた

「いいな」と思われたら押してください。

　 組革研に参加した当時は工場の改善スタッフを担当していました。 現場を回りながらまず自分がやって見せていた私は、 「教えることは発見のチャンスを奪い、本人の能力を摘んでしまう」 と聞いて驚きました。
　 現場の人たちが自分自身で考えるようにし、その力を引き出すのが自分の役目だと決意し、職場に戻りました。
　 数年後、保全部門のアドバイザーとして海外工場に赴任しました。その工場では設備故障が多く、保全も事後処理が中心でした。 そんな状況にもかかわらず現地の従業員は言いわけばかりしています。 毎朝聞かされる故障は事前に現場を見ておけば気づくはずですが、言っても彼らに理解されません。 現場を見ることの大事さがどうしたら伝わるだろうかと悩みました。
　 しかしある時、 「同じ言葉をくり返して現場を変えた人がいた」 と聞き、彼らの目が現場に向くことだけを意識して続けようと心が決まりました。 以降は 「点検結果はどうだった？」 が私の口癖になりました。
　 しかし彼らが持ってきた点検シートは十数年まえのもの。 工夫した跡も見られず、活用もされていません。 それを見て、 「異常を見つけるためにどうする？」 「異常がわかったらどうする？」 と尋ねることも加えました。
　 私自身の英語力が拙いことが幸いし、指摘された内容を彼らが推測して自分たちで試すようになっていきました。 少しずつシートに書く内容や頻度が増え、別の故障が起きると点検の見直しをするようになっていきました。 さらに彼らは現場を自分たちでパトロールしはじめたのです。
　 次第にトラブル発生まえに異常に気づくようになり、生産効率も上がってきました。 点検をきっかけにして保全計画を立てている姿を見て、今後も彼らだけですすめられると確信しました。