ルーチンワークだけだった部下が苦手な課題をやり切った

「いいな」と思われたら押してください。

　 今年７月の異動で、約１３０名の部下を持つことになりました。
　 職場に慣れるにつれ、一人の部下管理者が気になりました。 経験は豊富ですが、取り組む範囲がお世辞にも広いとは思えないのです。 ルーチンワーク以外の仕事を何度か依頼しましたが、そのたびに嫌そうな顔をされました。
　 彼にはもちろん部下がいます。 しかし、上がその状態では彼らの範にならないどころか士気は下がります。 同僚である管理者の中には、もっと動いてほしいとあからさまに不平を口にする人もいました。
　 今までどおりのまま済ませるわけにはいかない、そう思ってしばらく悩んだ末、新たな課題を彼に任せることにしました。 一般社員向けに開かれる勉強会の取りまとめです。 指名した途端、また嫌な顔をされました。
　 しかし他の人たちとの業務バランスを考えると彼が最も妥当です。 あなたしかいないとくり返すと、渋々引き受けました。
　 勉強会のテーマは、支社内のコンプライアンス教育、パソコンの個人情報の取扱いやセキュリティ対策、さらに業務で使用されるタブレット端末の使いかたについてです。 彼には馴染みが無く、苦手な分野であることは明らかでした。 しかし、彼から言われない限り、先に助け舟を出したり、口を出すことは絶対に止めようと私は決意しました。
　 彼の様子を見ていると、嫌々そうだった顔が次第に困っている表情に変わり、さらに真剣に悩む顔に変わってきました。 それに伴い、彼が自分でわからないことを調べはじめ、他の人に相談するようになってきたのです。 課題を自分の問題として思って取り組んでいるのがわかりました。
　 開催まえ、彼のスケデュールどおりに資料ができたと報告に来ました。 新たな分野に挑戦してやり切った、晴れ晴れしい顔がそこにありました。