嫌われることを恐れていたと気づいた

「いいな」と思われたら押してください。

　 ビール製造のろ過工程でトラブルが発生しました。 他の工場でカバーしなければ需要に応えられない大きなものです。 こういう事態が生じると、事故報告書をまとめ、この工場だけではなく他の職場や工場にも共有しなければなりません。 すぐ担当者に報告書の作成を伝えました。
　 しかし提出されたものを見ると、原因分析も再発防止策も納得感に欠けると感じました。 再検討と言いかけましたが、毎日残業を重ねている彼の姿が思い浮かび、また納期も気になりそのまま受け入れました。
　 しかし数日後、その報告書は再提出を求められたのです。 その瞬間、我に返りました。 彼が忙しいからというのは私の言いわけでしかなく、彼に嫌われることを私は恐れていたのです。 組革研の 「リーダー参加」 でやり切らせるとメンバーに向き合った場面が甦りました。
　 「他の報告書はそこまで書いていない」 「ただでさえ忙しいのにまた一からやるのか」。 思ったとおり、かなり抵抗されました。 しかし、私たちに求められているのは一時的な対処療法ではなく、起きた現象に迫り、二度と同じようなトラブルを起こさないことです。
　 それ以降、彼の残業はさらに増えました。
　 ある日、彼から声をかけられました。 そして、調べてわかったこと、実際に起きたトラブルの状態とその関係について、詳しく話しはじめたのです。 顔には自信が溢れていました。
　 その結果を報告書にし、工場長への説明も本人に任せました。 すぐにそれは了承され、以降の再発防止策も彼が立てることになりました。
　 彼の忙しさは相変わらずです。 しかし先日、今回の調査結果や対策をきちんとまとめて現場の技術成果として蓄積したいと、彼が新たな提案を言ってきました。