現場の全員参加での改善活動を呼びかけても動き出さずに悩んでいた頃、さらに主力製品である舶用ディーゼルエンジンの生産量増大という課題に迫られました。 このためには外注できない大型部品の加工量アップが不可欠でしたが、設備機械の生産能力がネックになり達成が難しい状況でした。
その頃、組革研で、事実をもとに 「対象」 に迫ること、部下にやり切らせることを学びました。 自分がいつの間にか、日常業務の忙しさを改善活動が滞っている言いわけにしていたことにも気づかされました。
職場に戻った私は、全部品20%の工数削減に挑むことにしました。
そのためには、工程に関わる全員で現場をもっと緻密に観察し、問題を明らかにしていかなければなりません。 今までの活動はごく一部の箇所、担当者に限られていたのです。 今回やり抜くと決めた私は、観測範囲を一つの工程の最初から最後までとし、起こっている状況を全て見ることにしました。 一つの工程といっても100時間を超える加工時間です。
24時間の稼働現場を2交代の観測体制にして、ストップウォッチで秒単位の観測をしました。 そしてデータを持ち寄り、これまで出席していなかった現場作業者にも検討会に参加させ、調べた事実をもとに機械や人の動きのムダや問題点を出し合い、原因に迫って対策を実行していきました。
当初、監視されているようだと言って作業者はとても嫌がり、観測するスタッフからも抵抗がありました。 しかし一緒に改善をすすめたいと強く求めつづけ活動が動き出すと、徐々に工数削減の成果が出はじめてきたのです。 自分たちも楽になると実感できるようになるにつれて、次第に作業者たちも自分の問題として捉え、積極的に提案するようにもなってきました。
こうして全員を巻き込んですすめた結果、生産量増大を達成するだけでなく、開始まえに比べて全主要部品で平均45%の工数削減ができたのです。
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