余計な口出しをしないよう、部下に言う言葉を決めた

「いいな」と思われたら押してください。

　私の部署が担当している環境施設は市民のライフラインであるため、トラブルへの速やかな対応が求められます。どうしても対策を優先してしまいますが、調査が甘ければトラブルの真因を見逃し、再発に繋がりかねません。その結果、施設の安定稼動も損なわれ、市民の方がたの生活にも影響を及ぼしてしまいます。
　組革研を体験して、自分が部下の能力を勝手に決めつけ、自らの経験で得た知識ややりかたが正しいとして指示をしていたことに気づかされました。また、部下の報告内容に少しでも不安を感じると私一人で調べてしまい、自分の考えを押し付けていたのです。
　これらをくり返していたことで、仕事を達成する喜びばかりか、部下が成長する機会まで奪っていたことが、組革研体験で初めてわかりました。
　職場に戻り、起きたトラブルに部下を真正面から向き合わさなければと思いました。そして、私が必要以上に口出しをしないよう、「思い込みに囚われていないか」「対応を先に考えていないか」「期日までに必ず達成すること」だけを言おうと決意したのです。
　それまで「たぶん」や「おそらく」など思いつきの言葉をすぐ口にして、対策ばかり立てていた部下の報告内容が次第に変わってきました。最近ではトラブルが起こるとすすんで調査しはじめ、仮説をいくつも立てた上で「この対策を行いたい」と言うようになってきたのです。彼らの変化を見て、今まで自分が彼らの力を抑えてしまっていたと改めて痛感しました。
　３年まえの組革研で強く思った「自分を変えなくては」の決意は今も未熟のまま、ここまで時間を要してしまいました。まだ自分は「指示出し人間」から完全脱皮できてはいません。しかし部下は確実に変わってきています。