「もう指示は出さない」と部下にはっきり伝えた

「いいな」と思われたら押してください。

　マネジメントの理想の姿として、「いかに早く的確な指示を出すか」を自分の課題と捉えていました。そしてこれまで、私の具体的な指示を部下は確実にこなし、結果を出してくれていました。
　それに満足しながら、逆に物足りなさも感じていました。新しいテーマに取り組む際、部下からの提案が最近少なくなっているように感じていたのです。その頃、「次代のマネジャーを育てるのも君の仕事だ。君の部下はどうだ？」と上司に聞かれた私は「思うように育っていない」と答えました。
　その直後、組革研への参加が決まりました。「送り込まれた」という思いが私自身に強く、心底いやいや参加しました。初日に最も印象に残ったのは、リーダーの「考えてください」という言葉でした。
　しかし不思議なものです。いつしか夢中になり、時間も忘れて「対象」の仕組みを解き明かそうと、チーム一丸となっていました。
　その時、わかりました。私が部下の達成感も満足感も奪ってしまっていた。「考える」ことを抑えられているため、仕事がつまらないと彼らが感じるのは当然だと。
　職場に戻って数日後、「もう指示を出さない」と部下にはっきりと伝えました。それでも私のもとへ聞きにきた部下へは、組革研で私が言われたのと同じ、「考えてください」だけを伝えるようにしました。
　部下は最初驚いたような表情でした。当りまえだった指示がもらえず、「どうしたんだ」と感じたと思います。
　来年度の活動テーマの選定が始まりました。今は部下が主導となり、まずは課内で活発にディスカッションをしています。私自身の課題は、「いかに口出ししないで、彼らが全員目標達成できるようになるか」です。