動けなくしていたのは、指示ばかりしていた自分だった

「いいな」と思われたら押してください。

　情報セキュリティ強化のため、全社をあげて個人情報を有する機密文書の管理リストを作成することになりました。来年導入されるマイナンバー制度に備え、個人情報を扱う総務部にとっても、リスト作成は個人情報がどこにどのように保管されているかを明確にするための重要な作業です。
　６月の組革研に参加するまえ、今月中にリストを完成させるよう部下に伝えました。「帰ってきたときにはできていますよ」の返事に期待して職場を後にしました。
　ところが組革研から戻ると、全くすすんでいなかったのです。多少の遅れは考えていましたが、「忙しかったので。でもまだ１週間ありますよね」という返答に、彼女が自分のできる範囲でしか考えていないと感じ、このままでは絶対達成できないと危機感に襲われました。
　「すぐ対応しなければ」、そう思った瞬間、組革研が頭によぎりました。その５日間で私は、「立てた目標は必ず達成しなければならない」、「自分の問題として仕事に取り組む」ことを体験したばかりでした。
　自分が手を出してすすめたくなる気持ちをぐっと我慢して、「今月末提出が必須だから頼む」と伝えました。彼女は、自ら動きはじめようとしたものの、「どうすすめましょうか。文書の保管期限を決めてもらえませんか」と尋ねてきたのです。ここまで教えられなければ動けなくさせていたのは、指示ばかり出していた私だと痛感しました。しかし、彼女に申しわけなく思う気持ちを抑え、「それも含めて考えて」と伝えました。
　１週間後、彼女はどうにか期限に間に合わせました。私はというと、思いどおりの進捗ではないと感じるたびに、細かい指示をしたくなる自分を抑えることに必死に取り組んでいます。