作る側のことしか考えなかった

「いいな」と思われたら押してください。

　化成品メーカーで製品開発を担当している私は、これまで素晴らしい製品さえ作れば売れるはずだと思っていました。しかし一方で、開発した製品が売れないことが悩みでした。営業担当から顧客情報を聞いたうえで開発するのですが、売れても小振り、ヒットしたとはとても言えません。自ら企画して開発したときも同じ状況でした。
　この悩みを抱えていた頃、組革研に参加しました。そしてキャンパスリーダーのお話をうかがい、頭を殴られるような衝撃を受けたのです。
　それは「対象」と「対応」の違いをお聞きした時でした。これまでの私は、どうしたら売れるか、素晴らしい製品にするにはどうするかと、作る側のことしか考えなかったのです。最近開発した既製品の試作品もそうだったと思い返し、合点しました。これが採用されなかった原因は、私が注目した点がお客様にとって、あえて刷新を必要とされるほどの問題ではなかったことでした。これには技術的な挑戦課題が多く、私にとってはとても有意義でしたが、けっきょくは開発者の自己満足にすぎなかったことが初めてわかったのです。組革研で何度となく指摘された「対策病」が自分の体質になっていたことを知り、驚きました。
　職場に戻ると、開発テーマを立案する際は、営業担当とともにお客様の状況やニーズを明確にすることを第一に考えるように変えました。以前からも営業とは打ち合わせていましたが、「売れる商品にしたい」という思いが先立ち、全て対策を前提にした話だったのです。ついつい陥りがちなこの気持ちを抑え込もうと一生懸命努力しています。
　まだ確たる成果は出ていませんが、お客様に目を向けることを忘れずに続けていきたいと思います。