刷り込まれた体質に気づかされた

「いいな」と思われたら押してください。

　「上手に教えればよい」「世話やきも上司の仕事のうち」と確信していた私は、組革研「メンバー参加」の初日に「リーダーはなぜ指示も説明もしないのか」と憤りました。しかし日を追ううちにそれは、「職場に戻ったら、よけいな説明をせずに部下の力ですすめさせよう」に変わっていきました。
　ところが、気負って取り組んだ職場では「パワハラまがい」「面倒をみない上司」という数々の陰口を耳にすることになり、体験で得た知識を生かすことができない自分を歯がゆく思いました。
　それから約１年後、今度は「リーダー参加」として再び体験する機会を得ました。けっして「うまくこなそう」と思っていたわけではないのに、「わかっていないのに説明したがる」「ものごとを穏便におさめようとする」と指摘され、愕然としました。また、リーダーを解任されるという自分でも想定していなかったことも経験しました。無意識で「先回りして問題が起きないよう、部下が困らないよう」行動してしまうほど、この体質が深く身に刷り込まれ、部下と真正面から向き合おうとしなくなっていたのです。
　職場で先日、部下がお客様に約束していた請求書の発行を失念したまま、私との地方出張の予定を組んでいたことが明らかになりました。私はすぐに彼の出張を取り消させ、それを完了させるよう伝えました。「出張後でも問題はありません」と彼は不満気でしたが、「お客様との約束が最優先」と私は一歩も譲りませんでした。
　出張から戻ると、予想以上に社内調整に手間がかかり、もし出張後であれば間に合わずお客様にご迷惑をかけてしまったかもしれなかったと、彼から報告を受け、感謝されました。この一場面だけは、彼と正面から向き合えていたのかもしれないと感じています。