お客様の楽しみは、自分の楽しみ

「いいな」と思われたら押してください。

　小さな缶ビールを手に「家に着いたら飲むんよ」というお母さん。毎週のように赤ワインを買いに来てくださるご夫婦、そんなお客様とのやりとりが何よりうれしく、今、お酒売り場にいるのが楽しいのは私自身なのです。
　組革研で、チームリーダーをしていた上司から「お酒売り場が２倍になったのに売り上げが伸びない」と言われ、担当の私はドキッとしました。
　さぼっていたつもりはありませんが、他の仕事に追われ、時間ばかり気にしながら動いていました。
　今の売り場は、お客様にとってどうなっているのだろう？
　自分なりに「対象」を掴もうと思いました。
　そんな中、店長が変わって「できるだけ新しい商品をお客様にお届けする」という店の方針が決まりました。商品の数を減らし、売れる数だけ仕入れることになり、発注のやりかたを変える必要がありました。
　よし、やってみよう。
　缶ビールは製造日が新しいほどおいしいとメーカーさんに聞いてからは、ますます在庫を持たないように意識して発注をしました。棚に並べられたお酒は同じ向きに統一するなど、陳列にも工夫をしました。少しずつ、予算が達成できるようになってきました。
　欠品しないように、でも在庫を持つわけにもいかない。発注をするときにはいつも緊張します。これまではそんな緊張感とは無縁でしたが、今ではビールの在庫があるだけで、一番おいしいときにお客様にお届けできないと、心配になってしまいます。
　いつの間にか、以前はよく聞かれていた賞味期限をお客様から聞かれることがなくなっていました。