ウイルス禍に気遣う最中ですが、企業の人たちに早々にアピールしたくて、このコラムをお届けします。
と申しますのは、1年ほど前から続けてきた𠮷野聡医師と私との対談の核心です。𠮷野医師は、精神科の研究者であると同時に臨床医として指導的立場にあり、130社の産業医の任にある人です。
私が予てより公言し続けてきた今日の人間の「ロボット症」、即ち多くの人たちが「人間力」をフリーズさせ、ロボットらしくに “変身” したかのような状態、総ては教えられ、指示されないと動けなくなりつつある実態の氾濫。𠮷野先生が日夜にわたって激闘されている企業内の人たちの「うつ状態」の蔓延。
この二つの人間現象に潜んでいるものは、見かけ・症状こそ異なれどそれを生み出していく底流の本体は一体ではないのか、と睨んだ(らしい)大屋裕靖さん(NXPジャパン・人事本部長)のサゼッションをきっかけにして実現した対談であります。
5回にわたる対談を終え、本にすべく校了直前になってこのウイルス禍が勃発してしまいました。そのために130社をも抱える𠮷野医師は睡眠時間を削らざるをえない超繁忙の渦中にあり、校了が儘ならないでいるのです。それによって、校了直前の対談の中味は𠮷野医師の机の上で息を潜め続けたまま、今時点では発刊予定を見通すことができないのです。
そこで私が取りあえずこのコラムで、これまでの対談で勉強し、着目したポイントの核心部分を、以下にかいつまんで項目化し、お知らせいたします。私が医師でない故の曖昧さや大まかさ、それにややもすると我田引水になりかねないところには目をつぶってください。
1.日本は「うつ大国」になってしまった。
2.「うつ」には「従来型うつ」と「新型うつ」がある。
[以下8項目は総て「新型うつ」に関するものである]
3.いずれの病でも同じだが、「うつ」の治療にも、共に不可欠な二つがある。一つは、負荷を軽減することによるストレスからの解放と薬物投与による「対症療法」。一つは、発症する原因にアプローチする「根本療法」。
4.後者の「根本療法」の中心は仕事における「裁量余地」の充実と「達成感」にある、と𠮷野医師は主張してやまない。私は同じことを「生きている実感」「己の存在感」と表現している。いずれもが「自己実現」に連なるものである。
5.だが、企業内の「人と組織」、私の言葉で言えば「人・仕事関係」即ち、人びとと仕事とのかかわり合いかた、それが「自己実現」には程遠いものにしてしまっているのだ。
6.「人・仕事関係」を支配するものがマネジメントである。そのマネジメントが、この国では「管理」になってしまっているのである。
7.その中軸となっているのが “3密” ならぬ「三逆リーダー」である。
8.多くの企業のマネジメントの立場にある人たちは、「人を大事に」「人を育てる」を口にして、実はその逆をやっていることにとんと気付いていないらしい。
9.「新型うつ」と「ロボット症」の「根本療法」の主役、それは精神科医ではなく、企業内のマネジメント立場にある人たちである。
10.以上の企業内の状況が人びとの「仕事力」を奪って日本経済の生産性をいかに落としているかは、たった一つ「組革研/デイリーメール」の中からだけでも明らかではないか。
20.4.28.
藤 田 英 夫
只今、サイトの更新を一時停止しております。
改めて更新を再開する予定ですので、少々お待ち下さいませ。
どうぞ宜しくお願い致します。
対談 あなたの会社はなぜ『メンタル不調』者を量産してるの
著者:藤田英夫・𠮷野 聡 発行:シンポジオン 発売:三省堂書店/創英社
脱「三逆リーダー」
藤田 英夫 (著) 発行:ダイヤモンド社 発売:ダイヤモンド社
「個全システム」によるミーティング革新
藤田 英夫 (著) 発行:ダイヤモンド社 発売:ダイヤモンド社
不感症体質に挑む「人間力」全員経営
藤田 英夫 (編) 発行:シンポジオン 発売:創英社/三省堂書店
経営の創造
藤田 英夫 (編) 発行:シンポジオン 発売:創英社/三省堂書店
第3の組織論
小林 茂 (著) 発行:シンポジオン 発売:創英社/三省堂書店
人間力をフリーズさせているものの正体
藤田 英夫 (著) 発行:シンポジオン 発売:創英社/三省堂書店
人間力―そこにどう火を点けるか
藤田 英夫 (著) NTT出版
人を人として―指示待ち人間を目覚めさせるもの
藤田 英夫 (著) PHP研究所
「状況」が人を動かす―管理からリードへ
藤田 英夫 (著) 毎日新聞社
Copyright ©2018 MANAGEMENT CENTER Inc. All Right Reserved.