キャンパスリーダーの独り事

逆転したKの意識
―― リーダー変革のドラマ(連載8)  No.167

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  このドラマに欠かすことのできないのが、Kリーダー自身の意識の変化である。 そこを少し記しておきたい。
  Kが劇的に自分自身のありように気づいたのは夏の真盛り、 「4時不在」 「5時不在」 「6時不在」 と大きく書かれたDの模造紙によってであった。
  部下のセールスマン全員が外出した後、Kはひとりその模造紙の前に立っていた。 「不在、不在」 の大きな文字が、どうしても目から離れない。 「てめえ、あほか。 この人サラリーマンだろうが。 こんな時間に行っておるわけないだろう。 ちったぁ頭を使えって……」 と怒鳴ってはみたものの、手まで出してしまったものの、絶望感は募るばかり。 こいつらの限界かもしれない、やっぱりばかなんだ、あほなんだと考えてしまうことを、どうしても止めることができないでいた。
  溜め息とともにKは、模造紙の前を離れ、ゆっくりと足を運んでDがいた場所に座してみた。 「もうだめだ。 手はない」 と頭の中で呟きながら模造紙に目をやると、先ほどまでそこに立っていた自分の姿が、くっきりと浮かんできた。 ……その時。
  「違う! これが事実なんだ。 これこそ動かしがたい現場の状況なんだ」 と、Kの頭の中に突如、意識の逆転が起こったのである。
  こうなってくると、全ては逆さまに見えてくる。
  この暑い中を、Dは何度もこの客を訪問したのだ。 「不在」 の文字が大きいのは、そんなことを訴えようとしているのかもしれない。 不在だと教えているのはDではないか。 自分は、それを見てサラリーマンだろうがと勝手に解釈し、そのあげくには怒鳴りまくり、けちをつけているだけではないか。
  こうなると模造紙が、 「お前はいったい、何ぼの者だ」 と言っているように見えてきた。 野郎どもを引きずり回してやるなどと考えたり、偉そうなことを言って威張っているけれど、自分がここにいられるのは、あほ、ばかと言われながら、汗水垂らしてお客のところに散っていくこの連中のおかげではないか。 俺はこの連中に生かされているんだ。 だったら、自分がどうあれば、彼らの仕事の役に立つのだろうか。
  「この時、自分は変わった、 逆さまになった」 とK氏は述懐している。 そして、 「彼らがつくってくれた状況が僕をリードしてくれたんだ」 と結ぶ。
  といってKは、部下との闘いをやめたわけではない。 それどころか、さらにそれは勢いを増していくのであった。
  [来週に続く]
  ( 『人を人として』 第五章二より抜粋)

16.11.15.

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