「人を人として」 の人間観には共感するが日々のマネジメントにどう反映するのか、とよく聞かれる。 この答は自明だ。
ダメなやつらと見た瞬間に、問題の所在は部下側に行ってしまい、その後にはダメな部下をどう動かすかの余白しか残らない。 部下のその状態を仮の姿として、本当は違うんだと見たときに、こちらがどうあれば彼、彼女らの本当の姿が現れてくるのかとなって、問題の所在はリーダー側にやってくる。 そこで初めて、リーダーとしてどうあればよいかと考えることになる。
部下の状態をリーダーの問題にせずして、マネジメントができるわけがない。 部下はリーダーの鏡なのだ。 部下のだめ状態はマネジメントの赤信号なのである。
ここまで言うとまた疑問が出てくる。 どうしてもダメなのもいるのではないのか、その確率はどのくらいか、である。 この人間観に対する総論賛成各論反対とでも言うべきものか。この疑問の本音は、考えかたには同感だが俺の部下にはそれに該当しないのがいるということのようだ。
人間のことである。 一人ひとりでこぼこもあって一律ではない。 したがって、人びとに対するこの見かたの順当性を一様に保証することはできない。 その確率、しいて私の体験から言えば、打率7、8割ということになろうか。
するとまた続く疑問は、残りの2、3割はどうなったかということになる。 当事者には余分な苦労をさせ、私の努力は徒労に終わったということだ。 その2、3割の人たちとは、まずは「ロボット症」の重症者である。 「ロボット症」 もここまできたかという感の人がいる。 年配者の中にもその種の人が少なくない。 年金を意識し始めるとおかしくなる人が出てくるようだ。
しかし、そんな打率には何の意味もない。 要は、目の前の部下の一人ひとりである。 その彼、彼女らが、現状以下ということはありえない。 となると、現状が目いっぱいだということも言えなくなる。 リーダーが現状以上だと確信してやってみなければ、それはわからない。 人びとには、数倍もの力が潜んでいる可能性大なのである。 それは、毎会期の組革研で立証されているところである。
この人間観への意識改革さえできれば、部下に対する今までの教える、説明する、指示する、世話をやくの多くがいかに 「無用」 であるかを、 「操縦」 しようとすることがいかに空しいことであるかを、確と認識することになると思う。
“上”とは、“下”に対する 「人を人として」 の人間観に己の魂を賭していく人だ。
( 『人間力』 第七章三より抜粋)
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