キャンパスリーダーの独り事

「ハロイ法」  No.151

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  組革研をはじめとして、私の仕事の場での 「反常識」 は数限りない。 その中の一つ、実行性の容易さと実効性の高さを誇る 「ハロイ法」 を紹介しよう。
  「ハロイ法」英語名を「CBA method」と言えば、何のことか見当がつくと思う。逆さま法である。
  例えば、リーダーがメンバーに方針などの大事なことを示したいとき、あるいは集会のような場で人びとに話しをするとき。
  常識ではどうやるか。 用意した内容を時間の大部分を費やして話し、わずかな残り時間を質問に当てるというようなケースが多い。 質問する人はぱらぱらだし、その内容も片寄ることが多く、へたをするとしらけ時間になってしまう。 それよりも何よりも、肝心の話しの中身はあまり伝わってはいない。
  「ハロイ法」 ではどうやるか。 まず相手に、そのことに関する質問を用意させることからスタートする。 それが疑問であっても意見であってもかまわない。
  相手が大勢の場合にはなおやりやすい。 グループ化して、話し合いの中から質問を出させるのである。 質問が質問を呼んでいくことになっていく。
  質問を考え始めると、人びとには自ずと問題意識がちょっと芽生えてくる。 回答に対するニーズが生まれてくる。
  少し具体的に記そう。 例えば数十人を対象とする場合である。

① 話す側は、話す内容の見当がつく程度のレジュメを、できれば数日まえ、やむをえなければ当日の早めに聞く側に渡しておく。 レジュメにするのがめんどうならば、同じ程度の話しをしてもよい。
② 聞く側は、それを見聞きして質問を用意する。
   このとき、質問の数を強要するのもよい。
③ 聞く側を、五、六人の小グルーブに分ける。 各グループ内では、一人ひとりの質問を集めてみんなで一覧一望し、それに基づいて、グループとしての質問をつくる。 質問の数は、全体の人数や時間によるが、一グループ三つ、四つに絞っていく。
   このとき、質問内容が観念化や抽象化にならないように、また個々の質問の足し算にならないように気をつけたい。 それが難しければ、一覧一望の中からグループとしての代表的な質問を選ぶというのもよい。
   組革研では 「個」 で三問以上を出し、その中から一人一問になるように 「全」 で選んでいる。
④ 各グループは互いに、グループとしての質問内容を全員に発表し合う。
⑤ 他グループから一質問が出たら、自分たちグループの中にある似た質問を同時に出す。 こうして全員に司会者感をもたせる。
⑥ 話す側は、その質問の一つひとつに答えていく。
⑦ その途中で、質問する側と答える側が、その内容を往復し合う。

  もし④の質問に片寄りがあったとしても、⑦のやりとりでカバーできる。
  これだけのことである。 その効果と言えば、 「常識」 とは比べものにならない。 それは肝心な二つの面においてである。
  一つは伝わり度。 「常識」 の場合の倍以上にはなるであろう。 もう一つは、内容や話し手の態度さえまともであれば、しらけムードは一掃され、話す側と聞く側の壁が薄れて一体感が生じてくる。
  ( 『人間力』 第一〇章二より抜粋)

16.7.19.

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