組革研の4日目には参加者からの問題提起に私が応える時間がある。そこで必ず出てくるのが「(部下に)そんなに頑張らせたら、重荷を背負わせたら『うつ状態』になってしまう」というやつだ。先週の1月会期でものっけからこれが出てきた。
毎度のことなので、これに対する私の応答も定型化してしまっている。それは、「『うつ』になるのは、自分の存在を実感できないでいるからだ。重荷を負うとそんなことになるのなら、たとえば大災害の被災者の人たちはみんな『うつ状態』になってしまうではないか。家を失い、職を失い、中には我が身より大事であろう家族さえ亡くしてしまった人も少なくない。それでも生きていかねばならない。みんなどでかい重荷を背負って頑張っているではないか」という仮説である。
「私は医者ではないのでこの応答だけは信用しないでほしい」と断ってのうえだ。私のような見かたをする精神科医もいるようだが、詳しくは知らない。ついでに言えば、医者の社会的現象に関する勉強の無養生は相当なものだと思う。もう一つ言えば、「特効薬の販売で『うつ病』患者が2倍に増えた!」という週刊誌*の記事は信憑性を得ていると思う。
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さらに仮説。つい先日、店の食品への異物混入や万引きを偽装した19歳が逮捕された。実行犯ではなく、何度もそれを演技し、その動画をネットに投稿したというわけだ。線路を枕に寝そべってみせてそれをネットに流した若もの、店頭の保冷庫の食品の上に寝そべってこれまたネットに載せたアルバイト学生もいた。駅頭でのあのうるさい音楽らしきをがなり立てる若もの、ストリートミュージシャンなどとマスコミは囃しているが、これらも同類項にあるのかもしれない。同類とは、自分が存在していることのアピールだということだ。それら行為を肯定しているのではない、念のため。
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管理社会の下では、人びとは生きている手応えを実感できないという、自己実現とは反対の道に歩むことになっていく。砂を噛むような道だ。すでに感受性が衰えている人にとってはこの限りではないであろうが。
(*『週刊現代』2014年4月5日号)
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