「指示待ち人間」をつくり出していた

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　製品開発において何よりも重要なことは、スケジュール厳守だと、今までの私は思っていました。それは社内の各部門がすべて、製品リリース時期を軸として廻っているからです。
　スケジュールに遅れが出ないために「ここは、今までと同じようにしたほうがいい」「このプログラムを参考にしてほしい」など、部下が担当している業務について、私はさまざまな場面でかかわりを持とうとし、細かい指示を出していたのです。
　そんな考えが常態化していたときに、組革研に参加しました。
　驚いたのは、ああしろ、こうしろ、といった指示が一切出ず、すべて個人ならびにチームで考え、行動することでした。
　この体験は私にとって目から鱗だったのです。
　さらにキャンパスリーダーの「指示待ち人間をつくり出している」という話は、私自身のことだと気づかされました。
　私の行動は、技術者にとって必要である未知なるものへの探求心、スケジュール管理能力などを奪い、彼らの成長を妨げ、モチベーションを下げていたのです。
　帰ってからさっそく、部下たちに開発の進行を任せました。非常に不安でしたが、取り越し苦労に終わりました。
　部下たちは準備していたかのように、今までとは違う雛形を持ち出して工程管理表を完成させました。レビューも自ら行うようになり、そのときの自信に満ちあふれた顔を見ると責任感が強く感じられました。開発プロセスでも私にはない発想が随所に見られるようになりました。
　結局、製品開発は今まで以上に順調にすすみ出したのです。