部下の状態から

「いいな」と思われたら押してください。

　組革研に参加して、それまで部下に手取り足取り教えていたことを止め、考えさせるようにしました。その結果、一人は頼もしく成長しましたが、もう一人は戸惑うばかりで一向に変わりません。
　その彼につい指示を出し、気づいたときには口うるさく言う元の自分に戻っていました。一から十まで指示をしないと動けない部下。納期も守れず、そのフォローを他のメンバーが行うという悪循環でした。
　何とか仕事ができるようになってほしいと躍起になっていましたが、どうにもならず思い悩んでいると、同僚の医療スタッフから彼がメンタル的に弱って通院しているとの情報が入ったのです。
　「私は専門家ではないが、うつ状態になるのは自分の存在が全く感じられなくなったとき」とキャンパスリーダーのおっしゃっていたことが蘇り、振り返ってみると、毎日のように叱り、説明し、指示していたことばかりが思い出されました。そのうえ、彼が自分の存在を感じられなくなるまで追い込んでいたのかもしれません。情けなくなりました。
　次の日、部下とまずこれまでの仕事で何ができて、何ができなかったのかを振り返り、できたことには感謝を伝えました。そのうえで、みんなとのチームワークがあるのだから、果たすべき自分の仕事はしっかりやっていこうよと言いました。
　彼の表情が明るくなったように思いました。
　様子を見ながらではありますが、定例会議の司会を任せると、他のメンバーが気づかなかった指摘をすることもありました。業務でも大きなミスはほとんどなくなり、納期についても自分で決めた時間の中でやりきるようになってきました。