経験則からの脱出

「いいな」と思われたら押してください。

　手作業が中心だった帳票作成をシステム化する、新たなプロジェクトに参加することになりました。
　親会社ではありますが、この事業部の基幹システムの導入からメンテナンスまで１０年以上携わっており、業務担当者の仕事内容もよくわかっているとの自負がありました。
　そこで業務要件を決めるとき、担当者に任せるのは負担が大きく時間もかかるだろうと思い、システム側でまとめたのです。
　しかしまとめた業務要件を基にミーティングを行うと、大きな問題が発生しました。
　自分はよくわかっていると思っていましたが、業務担当者からの指摘で現状との乖離がはなはだしいことが明らかになったのです。私は実に１０年前の古い知識で作っていました。結果的には一から要件を見直す事態となってしまいました。
　せっぱつまり、ここは組革研でやった「対象」を捉えるからやるしかない！ と腹をくくり、それまでの作業を止めて、まずは業務担当者の仕事を明らかにすることを、何よりも優先しようと決意しました。
　どうやるか、とにかく担当者にべったりくっつき、克明に記録を取ることにしました。いつどんな作業をしているのか、どこから資料やデータを集めてきているのか、どんなレイアウトを作り、何に利用しているのか。４、５日かけて記録を取り続け、これを３回繰り返して、ようやく担当者の動きがわかってきたのです。
　そこからもう一度、業務要件をまとめ直し確認してもらうと、なんとか次の段階へ進めることができました。