部下のためになっていなかった

「いいな」と思われたら押してください。

　私は、発電プラントのアフターサービス業務に関する窓口営業を統括しています。リーダーとして、積極的に部下の相談に応じてきました。特にお客様への対応に関わることはいち早く解決すべきと思い、部下からの質問にはすぐ答えるように努めてきました。それが上司の理想像と考えていたからです。ただ、書類の書き方など他愛もないことを何度も質問されると、それをストレスに感じることもありましたが、それが上司の仕事だと言い聞かせていました。
　ところが組革研で、「ロボット症」の話をうかがい、衝撃を受けました。部下のためと思ってしてきたことが、彼らを指示がなければ動けないようにさせていたことに気づいたのです。
　そして組革研の最終日、「部下を助けようとあれこれ手を差しのべてきたが、明日からは部下に問題を直面させて、互いに苦しみを共有する」と宣言しました。
　職場に戻ると、いつものように「どこに依頼すればよいか」「お客様の要求にどう回答すればよいか」と質問が押し寄せましたが、意を決して「どうしたらいいんだろうね？　君はどう考えているの」と返しました。
　最初は「わからないから聞いているのに」というような不満げな表情をされました。考えようともしない者もいたので、しかたなく「〇〇の方向で考えてみたら」などと余分なことと思いながら答えてしまいました。部下にとっては回りくどく感じていたかもしれません。
　しかし、くり返していると「このような状況なので、こう考えますがいかがでしょうか」などとこれまでにないような相談が来るようになってきました。やっと変化の兆しが現れました。