思い込みから抜け出る

「いいな」と思われたら押してください。

　前はこうだったからこうやれば良い、とこれまでの経験の中で仕事をしてきました。しかし組革研の「Ｓ－２０」で思い込みによる手痛い失敗をし、恐ろしさを感じました。
　職場に戻り、現場の工場を歩いていたとき、作業者が製品を棚の奥からやりにくそうに取り出していました。奥から手前に移動させる途中で落としたら、他の製品を巻き込み外観不良につながりかねません。
　それはいつもの見慣れた光景で今までは素通りしていましたが、現場の作業者にとってどうなっているのかをふと考えていました。
　必要な製品は、作業前にあらかじめ手前に出せばどうだろう？ 小さなことかもしれませんが、そう提案して配置換えを行うと、「こんなに楽に動けるなんて！」と言われました。
　別の現場では、ある製品が電圧装置にかけた際に壊れてしまい、連結していた他の製品も壊れてしまうというトラブルが発生しました。
　すぐに現場へ行って作業者と話し、壊れた製品を前に実際の状況を再現して調査を始めました。
　このネジはゆるんでいなかったよね？ 逆にゆるんでいたら壊れるのだろうか？ などと、サンプルや装置を一つ一つ調べ、組革研でやったように仮説を立てては確認していきました。原因に辿り着くことはできませんでしたが、装置には問題がないことはわかりました。
　今まで、こうしたトラブルは作業者の責任だと思っていましたが、そうではなく、自分の仕事ぶりが不良発生を左右しているのかもしれないと思うようになりました。思い込みから抜け出ようと意識したことで、今まで見えなかったことが見えるようになってきました。