「自分たちで決めたことだから」と動き始めた

「いいな」と思われたら押してください。

　私は毎朝のミーティングで生産状況やトラブルの報告を各工程のリーダーから受け、その対処について私と直属の部下が細かく指示を出していました。それがいちばん良い方法だと思っていたからです。
　そんな折に参加した組革研は、細かい指示がないまま課題を与えられたのです。最初は「えっ！」と思いましたが、次第に本気になっていました。今まで理想と思っていたやりかたは、全く逆だったことに気づかされました。
　職場に戻り、懸案だった課題に取り組むことにしました。私の部門では事業環境が大きく変化し、生産量が大幅に減少してしまったため、効率化をすすめる必要に迫られていたのです。
　各工程のリーダーに現状を訴えて、改善のために自分たちができることを紙に書いてもらい、それをもとに皆で論議していきました。やっと製品の検査工程を現状の３ラインから２ラインに統合して効率を上げる案に絞られました。最初は自分の工程を守ることに固執したり、できない理由を繰り返す者もいましたが、私もその案をすすめようと、早速プロジェクトチームを結成し、改善案の作成を部下に任しました。
　彼らは自分たちでチームリーダーを決め、業務の合間をぬってはミーティングを行い、わからないことが出てくると、実際に作業を行って確認していることもありました。
　私は最終報告を受けた際、トラブルが起きたらどうすると聞いてみると、「自分たちで決めたことです。そのときは話し合って解決していきます」と答えてくれました。嬉しく思う一方、すすめかたに不満を抱く者もいるので、これからどうするか悩みながらのスタートです。事業環境を説明するだけでは厳しさを共有できないと痛感しました。