部下は「これではまずいな」と思い始めた

「いいな」と思われたら押してください。

　事務所や実験室には常に備品が散乱しています。私がいくら口を酸っぱくして「５Ｓ」の実施を部下たちに言っても、「忙しい」とか「またすぐに使うから」などの言い訳が返ってきます。安全衛生課の毎月の巡回時には一時的に片付けますが、すぐに元の状態になってしまい、私は「みんな目の前の業務で精一杯だから」と半ば諦めていました。
　しかし、組革研で「リーダーの役割は部下を易きに流さないこと」と聞き、自分が部下のことを本気で考えていなかっことに気づき、恥ずかしく思えてきました。「５Ｓ」がなされていない職場では、仕事の効率が落ちるばかりでなく、つまずいたり荷崩れが起きる危険があるのに、私は見て見ぬふりをしていたのです。
　職場に戻ると部下たちを集めて、実験棟内で乱雑な場所を１人３０か所書き出すよう指示しました。書いた紙を貼り出して全員で見ると、専用で使用する実験台より共用スペースのほうが整理できていないことがわかりました。中には私が気づかなかった場所も挙がっていました。
　さらに、整理整頓ができない理由を１人３０件書き出させたところ、最初は人のせいにしたものが多くどうしたらいいものかと迷い、本当にこれだけなのかという思いで、もう一度書かせました。すると、「忙しさにかまけてしまった」、「遠慮して指摘できなかった」など、少しずつ本音が書き出されてきました。書いていたものを貼り出しみんなで見ていると、「これではまずいな」と、思い始めたようでした。
　「５Ｓ」をどのようにやっていくかはまだこれからですが、自分が易きに流れないように踏ん張りながら、まずは部下とともに「整理整頓」を確実にしていきたいと思います。