部下たちの状態を見ていなかった

「いいな」と思われたら押してください。

　海外出張と組革研への参加が続き、２週間ぶりに職場へ戻ると、部下たちに任せた商品開発プロジェクトの進行が大幅に遅れていました。以前の私であれば、とにかく納期に間に合わせようとすぐ対処法を指示して、自らも率先して作業にあたっていたと思います。
　しかし今回は、組革研で接したリーダーの毅然とした姿を思い出して、私も「この状況から逃げない」と固く心に誓いました。すると、部下を易きに流さないという気持ちが自然に湧いてきました。
　プロジェクトの遅れを部下自身の問題にすべく、全員を集めて「進行の障害となっていること」を書き出させてみると、１時間で４７０件にも及びました。それらを貼り出し、「これを解決すれば商品化が実現する」を評価基準に、各自やるべきことを明らかにしていきました。
　部下たちはそれぞれの課題に取り組み始め、私は「これで大丈夫」と思い込んでいました。ところが実際は、２週間経っても計画の半分もすすんでいませんでした。明らかにしたはずの問題に取り組んでも、彼らはすぐに新たな障害にぶつかってとん挫していたのです。私はその実状を捉えていませんでした。
　今度は私も一緒になって問題の洗い出しを行いました。部下たちが書き出したことに対して、「これは本当か」「どうなっているのか」と指摘すると、「実はやっていない」「変えなくていいと思っていた」という実態がわかり、いかに自分が部下たちの状態を見ていなかったかを痛感させられました。
　その後、彼らは自ら決めた日程を何とか守っています。私は進捗状況を見ながら、気になったことは嫌われることを恐れずに何度でも質問するようにしています。仕事と部下のために、もう決して逃げないと決めました。