私が不在の間にラインが回復していた

「いいな」と思われたら押してください。

　生産ラインにトラブルが生じ、納期が遅れてお客様に多大なご迷惑をお掛けしていました。何とか解決しなくてはと、品物の流しかたや加工方法をこと細かに指示していましたが、思うようにいきません。いらいらしてラインを担当するメンバーに「なぜできないんだ！」とか「いいから、とにかくやれ！」などと声を荒げることもありました。
　そんなときに組革研に参加すると、自分の指示が職場の状況を生み出していたことに気づかされました。そして「職場に戻ったら生産遅れをメンバー自身の問題にしよう」と決心しましたが、具体的な方法が思い浮かびません。しかも納期遅れで待ったなしの状況の中、果たしてメンバーが動き出すのを待てるか、私は自信がありませんでした。
　不在にした間に状況が悪化しているのではないかとモヤモヤした気持ちで出社して驚きました。私がいないことでメンバーたちは困り、考え、行動し、生産スピードが回復に向かっていたのです。考えてみれば、彼らに比べれば私は機械の素人で、その素人が机上で考えたことを押し付けていたのですから、うまくいかなかったのは当然でした。
　その後、間もなくして生産は完全に回復し、以前より効率が上がりました。それ以来、私はこと細かな指示を止め、問題が起きればメンバーに「どうしたらいいと思う？」と尋ねるようにしています。
　親会社の社長による現場巡視の際、彼らは「社長に良い報告ができますね」と言ってくれましたが、私は「報告は君たちからしてほしい」と伝えました。
　その後、彼らは以前よりも生きいきと仕事に取り組み、トラブルの相談に来るときは、「こうしようと思います」と自分なりの考えを提案するようになっています。