自分の中のリーダー像が１８０度逆転した

「いいな」と思われたら押してください。

　お客様との商談に必要な資料をすぐ取り出せるように整理したり、設計業務の効率を上げるためのツールをつくるといった作業を、リーダーの私がやっていました。部下が仕事に集中できる環境をつくるのがリーダーの務めだと思っていたからです。
　一方では、部下たちと同じ実務作業を担当し常に手一杯だったため、彼らが自ら作業の効率化をすすめないことに不満を感じてもいました。
　組革研にリーダー参加した私は、あたり前のように段取りやメンバーの世話焼きをしていましたが、それをブロックリーダーに止められた途端、メンバーたちはやるべきことを自ら考え動き出したのです。私の中のリーダー像が１８０度逆転した瞬間でした。
　職場に戻ると、以前から私がやるつもりだった商談準備効率化のためのツールづくりを、部下たちに任せることにしました。その際、これまでのような事細かな指示はせず、課題と納期だけを伝えました。
　すると彼らは、与えられた課題だけでなく、説明事項の漏れをなくすチェックリスト機能も付け加えて結果を出してきたのです。漏れがあることで効率が悪くなっているという現状に、私は気づいていませんでした。彼らは彼らなりに商談準備の効率の悪さを自分の問題として捉えていたのです。
　私は、自分が手を出して邪魔しておきながら「部下がやろうとしない」と決めつけていたことを申し訳なく思いました。
　その後、進捗を部下に確認する際、「〇〇どおりにできているか？」と聞くのを止めました。まずは状況を聞いてから、どうしようと考えているのかを尋ねることにしました。彼らは、まだ口ごもることもありますが、少しずつ自分の案を考えて相談に来るようになっています。