部下への口出しを止められない

「いいな」と思われたら押してください。

　ある若い部下のことを「仕事への取り組みが甘い」と思っていました。仕事を任せても、彼の理想や思い込みですすめてお客様のニーズに合わないことが多く、私は途中で何度も口を出しやり直させていました。
　組革研に初めてリーダー参加すると、メンバーがこれから課題に取りかかろうとしているのに、私が改めて指示してしまうということがたびたびありました。「メンバーの邪魔をしている」と何度も指摘され、もう口出しをしないと心に決めましたが、翌日になるとまた無意識のうちに余分な説明をしている自分がいました。職場でも同じことをしていたに違いないと考え、そら恐ろしくなりました。
　職場へ戻るとさっそく、「取り組みが甘い」と私が口出しばかりしてきた部下に謝りました。組革研で気づいたこと、成長の邪魔をしていたという思いを正直に伝え、「もう私からは余計なことを言わない。これからはまず自分で答を出してみてほしい」と話したのです。
　彼はある会議の事務局を担当しています。以前から彼の進行にたびたび私が口をはさんでいましたが、これについても「次回は口を出さない」と宣言し、資料作成や進行をすべて自分でやるように指示しました。
　それから１週間、彼は悩みながら夜遅くまで必死に取り組んでいました。しかし、できあがった資料を見た途端、私は不安で一杯になりました。「こんなケースはどうするの？」などと質問攻めにしましたが思うような返事がありません。イライラした私は思わず「こうしてみたら？」「〇〇の情報がないと結論なんて出ないよ」などと口走っていたのです。
　「あぁ、またやっちゃった」。理屈ではわかっていても、長い間に染みついたものはなかなか変えられません。自分との闘いがまだまだ続きそうです。