部下にレールを敷くのを止めた

「いいな」と思われたら押してください。

　組革研ではリーダーの指示はほとんどなく、課題を自分たちで解決していかなくてはいけませんでした。しかし、あるときリーダーが口にした一言をチームの全員が具体的な指示として受け止め、その内容を誰一人として吟味することなく無駄な動きをしてしまうことがありました。リーダーが敷いたレールに頼ろうとするロボット症を目のあたりにし、自分自身の部下に対する言動を考え直すきっかけになりました。
　職場では、発電所で使うタービンに関わる部品の製造現場で、製造工程間の待ち時間を減らす活動を実施しています。
　活動を担当する部下は以前から「どうしたらいいですか？」とすぐに聞いてきて、私も「ここを調査してみたら？」と即答していました。一例を示しただけのつもりでしたが、彼は私に言われたとおりに調査し、想定した結果が得られずに「どうしたらいいですか？」とまた聞いてきました。そんなことをくり返すうちに活動は徐々に停滞してしまったのです。
　私が部下をロボット症にしていたことに気づいてからは、私から具体的な案を伝えるのは止めました。そして、「毎週必ず計測結果を見て、気づいたことについてなぜそのようになるかを自分で調べるように」と伝えました。
　彼はすぐに行き詰まって聞きに来ましたが、私が答えずにいると、そのうちに現場や取引先と問題点について協議した上で、自分なりの解決策を持って相談に来るようになりました。そして最近では発想豊かな改善提案をするようになってきたのです。
　私自身は先回りしてレールを敷いてしまう癖をなかなか直せずにいます。また、同じ方法では火が点かない部下もおり、リーダーとしてもっと考え変わっていかなくてはと反省させられる毎日です。