参加リポート/現場から

沈黙を守って部下を見続ける

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上野正樹 マツダ・車両開発本部・衝突性能開発部・マネージャー 〔第480回/2014年7月会期参加〕  NO.481

 ここ数年、私の課では車両の先行開発プロセス構築をすすめてきました。その成果を本部内で報告することになり、部下である担当主任を中心に準備を始めることにしました。
 担当主任はさっそくミーティングを設け、冒頭にこう切り出しました。「今日はマネージャーと報告内容の大枠について話し合い、その後で草案づくりに取りかかりたい」。おそらく彼は「案を出して修正されるなら、先に上司の意見を聞いてしまおう」などと考えたのでしょう。私は、他人に依存する体質が部下に染みついていたことに衝撃を受け「これまで実質的に技術開発を引っ張ってきたのは君だ。報告で何を伝えるべきか、まず自分なりによく考えて」と言って席を立ちました。
 組革研に参加する前の私であれば、喜んで草案づくりに関与していたと思います。しかし、組革研でロボット症の話を聞き、これまで自分の事細かな指示が部下の自発性や成長の機会を奪っていたことに気づかされたのです。
 先の会議から2週間ほど経って、担当主任が「資料の草案を作ったので見てほしい」と言ってきました。目をとおすと、ひととおり筋のとおったレベルになってはいましたが、私からすると物足りない部分も多くありました。しかし。黙って聞いていると、以前と違って要所要所で「私はこう思う」「これを一番伝えたい」という言葉が聞かれるようになり、彼が自分の問題として取り組んでいることが伝わってきたのです。私は自分の意見をぐっと抑え込んで、部下たちで討議をすすめるように伝えました。
 まだまだ部下に口を出してしまうことが多くありますが、組革研でチームリーダーが沈黙を守ってメンバーが動き出すのを待つ姿を思い出しながら、粘り強く自分自身の改革を続けていこうと考えています。

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脱・「三逆リーダー」
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