疑いようがない、を疑う

「いいな」と思われたら押してください。

　異常はないか？ ユーザーからの調査依頼に、当社の合格基準は満たしているのでずっと「問題はない」と回答してきました。しかしこの電子材料向けの製品は、基準値ギリギリまで検査数値が振れることもあり、ユーザーからの問い合わせが多くなっていました。
　今までは品質には問題がないとそのままにしていましたが、度重なる調査依頼に、見逃していることがあるのかもしれないと、プロジェクトを立ち上げて調査することになりました。組革研に参加して間もないこともあり、私がプロジェクトリーダーに任命されました。
　それまでは工場のことはよくわかっているつもりでいたので、現場へ行くこともなく、紙ベースの記録や検査結果を見て、お客様に回答する報告書を作成していました。そのことに疑いを持ちませんでした。
　しかし組革研ではまず現場でした。
　この製品も「対象」だ、同じことだと考えて、メンバー３人と製造現場を見に行くことにしました。
　何度となく足を運び、組革研でやったように個別に並行して調査を行い、見落としや思い込みを排除するようにしました。仮説も数多くと、１００個立てて全工程を調べていきました。各自が調査結果を持ち寄っては、ああでもないこうでもないとやり合い、さらに調査を続けました。
　すると今までの調べかたではわからなかった問題点が見つかりました。原料の仕込み段階で使用する秤に問題があったのです！
　この製品に使用するには誤差の許容範囲が広すぎるということがわかりました。さっそく修正を行うと、お客様からの調査依頼は激減しました。
　現在では、現場を見に行くことが当りまえになっています。