実は部下には伝わっていなかった

「いいな」と思われたら押してください。

　「もっと自分で考えろ！」思わず大きな声を出してしまいました。
　ジョブローテーションにより設計部門から若い社員がやって来ました。彼はわからないことはよく調べず、マニュアルにないものは、できません、どうやったらできますか、とすぐに答えを求めてきました。
　組革研の「Ｓ－２０」で味わったあの稲妻が走るような発見の喜びを、一時とはいえ部下となる彼にも味わってほしい。そうすればきっと変わってくれるだろうと思いました。
　「この方法は試したか？」ぐらいのアドバイスに留めて見守ろうとしましたが、うまくいきません。
　結果が出ずに時間だけが過ぎていく状況に焦りを感じ、ミーティングでは問い詰めることも多くなっていきました。
　なんとかやりきろうともがいている姿が見られるようになりましたが、ジョブローテーションの期間を延長しても完成に近づきません。
　ある日、思いきってここでの仕事をどう思っているのか、どう感じているのか「本音はどうなの？」と聞きました。
　「ここでの仕事より、早く元の職場に戻ってスキルアップをしたい」
　その答えに愕然としました。
　発見の喜びをわかってもらいたい、彼にもきっと伝わるはずだと決めつけて、何一つ彼をわかろうとしていなかったのです。
　自分は正しいと思い込み、人を変えようとしていたなんて！ 自分の思いあがりでした。
　今は、同じあやまちを犯さないようにと心に決め、「自分の見方は間違っていないか」と常に問いかけています。