状況が部下たちを動かした

「いいな」と思われたら押してください。

　グループ会社の福利厚生機関として、保険やローンを団体割引で提供するほか厚生施設の管理も行っています。
　専門資格を必要とするサービスが多く、担当者不在時には他の者が対応できずお客様を待たせることがよくありました。「せっかく休憩時間に来たのに」「他の人ではわからないのですか？」といった苦情に、この状況を変えなければと、私は各メンバーが複数の資格を持つことを提案しました。
　しかし部下たちからは「今の業務で手一杯」「手続を間違えるのが怖い」と言い訳ばかり。とりあえず「各担当の業務内容を他の人にもわかる一覧表にする」という課題をやらせただけで、行き詰まってしまいました。
　そんなとき組革研で「人は問題に直面して初めて力を発揮する」ということを体験し、これを職場でも実現したいと思いました。
　ある日、部下の１人が長期入院をすることになりました。いつもなら私が「ここはＡさん、こっちはＢさんが担当して」と指示していましたが、今回は病欠者の業務内容一覧表を部下たちに渡して「応援要員はありません。みんなで〇〇さんの仕事をカバーしてください」と伝え、どう分担するかは自分たちで決めるように言いました。
　彼らははじめ驚いていましたが、逃げられないと思ったのか、各自ができることを出し合って分担や協力体制を決めていました。
　その後しばらくすると、部下たちのお客様への対応が変わってきました。自分の担当でなくてもわかることは対応するようになり、他にわかる者がいれば相談し合い、極力お待たせしない姿勢が生まれたのです。
　お客様からは「どの手続きでも一度で済むから助かる」と言っていただけるようになり、まさに状況が人を動かしたのだと実感させられました。