「どうしたらいいですか」から抜け出す

「いいな」と思われたら押してください。

　中国の現地工場に赴任して２年。生産量が倍増し、現地メンバーの退職率も半減しました。順調に進んできたはずでしたが、振り返ってみるとあることに気づき、愕然としたのです。
　現場を走り回り、彼らの力を引き出してきたつもりでしたが、その中心にはいつも私がいました。メンバーが間違ったことをしそうになると必ず指示を出し、舵を取り直していました。
　短い赴任中に、現地メンバーだけで仕事ができるようにするという最大の任務が、何も進んでいませんでした。
　思い悩んでいたとき組革研に参加して、リーダーのメンバーに向き合う姿勢に感銘を受けました。時に突き放したように叱責され「なにくそ！」と奮起し、いつの間にか自ら考えて行動するようになっていました。私はと言えばメンバーを自分の思い通りに動かしていただけだったのです！
　メンバーの操作ミスにより、ある加工設備で危険物が漏れ出すという大事故になりかねないトラブルが発生しました。
　これまでのような指示は出さず、この設備に関するわからないことをメンバーに書き出させて「一覧一望」しました。どうしたらいいと思う？ などと粘り強く問いかけると、操作の内容に留まらず、作業者の保護具は最適なのか、遠隔操作を図るべきではといった議論が始まりました。
　ああしろこうしろと言い続けてきた結果、どうしたらいいかと指示ばかり求めてきたメンバーでしたが、「この部分の加工は、他の行程で用いる器具を使うと３０分短縮できる」など、具体的な提案を伴なった報告をするようになってきました。
　任期中に必ず彼らを一人立ちさせて、帰国したいと思います。