部下たちは次々と自分の課題を宣言し始めた

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　組革研では、リーダーから具体的な指示はなく、ただ業績を上げるために何が必要か自ら考えて仕事をすすめざるをえませんでした。そのような状況では、仕事への主体的な取り組み姿勢がなければ存在価値はなく、仕事を自分事にすることがいかに重要か思い知らされました。
　これまで現場責任者を集めた経営会議では、積極的に発言する者がいないことから「部下たちは自分で考えられない」と決めつけ、結局は私が用意した計画内容を一方的に指示していました。そして「異議なし」の確認ができれば、後は部下が動いてくれるものだと錯覚していたのです。
　組革研から職場に戻り、部下たちが自ら考え仕事に取り組めるようにしようと、会議のすすめかたを変えました。これまで拠点長１７人を一堂に集めて全員で話し合っていましたが、それを３つのグループに分け、個で考えたうえでグループ討議を行うようにしました。
　最初は「自分の認識が間違っているのでは」などと気にして発言を控える者もいました。しかし部下どうしで議論させ、私が口を出さないようにしたことで、これまでほとんど発言のなかった者からも次第に意見が出てくるようになってきました。
　あるセンター長からは、「配達の際、部下にお客様のニーズを探る活動をさせなければならないのに、私は配達件数や売上げのことばかり気にして、お客様に目を向けさせていなかった」という発言が出てきました。
　これが引き金となり、そのグループではメンバーが次々と自分がやるべきことを宣言し始めたのです。
　これまで私が総てを決めてしまい、部下たちが考え行動するのを邪魔していたことを改めて思い知らされました。